1. 履歴書
採用・不採用の判断に使われる
(1)履歴書を作成するときの注意点
◆「履歴書」は、求人募集企業へ応募する際に提出する応募書類として最も一般的に用いられる書類です
が、
単なる「応募申込書」や「手続書類」ではなく、応募先企業の採用担当者がその内容をみて採用・不採
用の判断に用いる「審査書類」だと考える必要があります。
内容も記載方法も重要
◆履歴書は、その記載内容自体が重要であることは言うまでもありませんが、その記載方法もしっかりしたものと
することが必要です。
◆もし履歴書の記載方法がていねいなものでなければ、応募先企業の採用担当者によい印象を与えず、「応
募の姿勢がいい加減で意欲や熱意がないのではないか」「文章の記載能力が不足し、仕事が雑かもしれな
い」などと思われる場合もあるからです。
◆基本的には、読み手である採用担当者の立場に立って、読みやすくていねいな記載方法を心がける必要が
あります。
履歴書だけでもアピールできるようにする
◆近年、応募書類として履歴書のほかに職務経歴書の提出を求める募集企業が多くなってきています。職務
経歴書の内容を履歴書よりも詳しく書くことが一般的ですが、だからといって履歴書の記載内容にアピール
力がなくてもよいというわけにはいきません。
◆採用担当者はまず履歴書を見ますので、そこで不採用になれば職務経歴書まで見てもらえない可能性もあり
ます。このため、履歴書だけでもアピール力のある内容とする必要があります。
書類選考が行われる場合は面接選考まで進むことを最優先に考える
◆近年の採用選考は、応募書類によってまず書類選考をすることが多くなっています。面接選考の際に自分の
能力をていねいにアピールしようとしても、書類選考で不採用となれば、面接選考にまで進むこともできませ
ん。
◆このため、書類選考が行われる場合は、面接選考まで進むことを最優先し、面接で本人に会って話をしてみ
たいと思わせるようなものとなるよう履歴書の内容をよく練る必要があります。
様式の選び方
(2)履歴書の作成の基本 写真
◆履歴書の様式は「JIS規格履歴書」として定められたものが標準とされていますが、自己アピールをしやすくす
るための工夫がされた、JIS規格に類似した様式も各種市販されています。大卒等の学卒者用、転職者用な
どいろいろありますので、自分のアピールポイントを記載しやすい自分に合ったものを選びましょう。
◆履歴書の様式の大きさはA4版とB5版があります。どちらを用いても差し支えありませんが、企業で用いる書
類はA版で統一されていることや、記載欄が広いことから、A4版をお勧めします。
◆なお、様式の右下に「保護者」欄のあるJIS規格履歴書は旧版です。JIS規格履歴書を用いる場合は、その
欄がなく、志望動機やアピールポイントを記載する欄が広くて書きやすい新版を用いるようにしましょう。
写真の意義
◆履歴書に貼付する写真は、応募書類の中で唯一の画像情報であり、応募者の第一印象を大きく左右しま
す。写真は、顔が分かればよいというものや個性を主張するものではなく、応募先企業の採用担当者に対し
て、採用に向けた好印象を与えることが目的だと考えましょう。
写真の撮り方・貼り方
◆写真は、写真館などで撮影したものはもちろんですが、スピード自動撮影機で撮影したものでも構いません。
鮮明に写っているものであれば大丈夫です。
◆本人のみの正面上半身を、無背景、無帽で撮影します。スナップ写真は不可です。表情は固いものにならな
いよう注意しましょう。
◆概ね3ヶ月以内に撮影したものを用いましょう。
◆色は、カラーでも白黒でも差し支えありませんが、カラーが一般的です。
◆大きさは、所定欄の大きさに合わせます(通常縦4cm×横3cm)。周囲を切り取って大きさを調整する場合は
定規とカッターを用いてきれいに切りましょう。
◆履歴書に貼ったあとで、万が一はがれても採用担当者が誰の写真か区別が付くように、写真の裏面に氏名
を記載しておきます。
◆履歴書の所定欄に、はがれないように、のりでしっかり貼り付けます。セロハンテープによる貼り付けは不可で
す(市販の履歴書に添付されている両面テープは可です。)
写真を撮るときの身だしなみ等
◆身だしなみは、カジュアルなものにならないようにし、面接に行く時と大きな違いがでないようなものとします。眼
鏡を使用している人の場合、面接にも眼鏡をかけていく予定であれば眼鏡をかけて撮影します。
◆服は男女ともに、襟のついた服が一般的です。
◆男性の場合、白か淡色のシャツ、ダーク系のスーツ、派手にならないネクタイとすることが好ましいとされます。
髪の毛はボサボサにならないよう整えます。
◆女性の場合、透ける生地、レース・フリルを多用した服、目立つアクセサリーは好ましくないとされます。髪の毛で
顔が隠れすぎると暗い印象になるので注意します。
面接においては、提出した履歴書(職務経歴書を提出する場合は職務経歴書も)
の記載内容に基づいて質問をされることが多いので、その記載内容を忘れてしまっ
たり、記載内容と矛盾するような応答をしないよう、完成した履歴書(及び職務経
歴書)をコピーしておき、面接前に確認しましょう。またそのコピーは、他の応募
先企業へ提出する履歴書(及び職務経歴書)を作成する際にも参考になります。
記載方法
◆履歴書は、最近ではパソコンで作成したものでも可とする企業が増えてきていますが、手書きにこだわる企業
もあり、一般的には手書きで作成します。
◆筆記用具は黒色のボールペン・万年筆等を用います。
◆間違えた場合、修正液、修正テープ、二重線、訂正印などを用いたとしても修正することは厳禁とされており、
最初から書き直す必要があります。
◆コピーをしたものや、不採用で返却されたもの(提出日の日付けが古く全体的に使用感が残ります)を使いまわ
すことは、応募先企業への印象を悪くしますので不可です。
読みやすくていねいな文章表現
◆読み手の立場に立った読みやすい記載をしましょう。
・枠いっぱいに詰めずに、楷書体でていねいに記載します。
・字の大きさはそろえます(ただし氏名はやや大きくし、ふりがな、電話番号、郵便番号などはやや小さくします。)
◆文体や年号などの記載スタイルは統一しましょう。
・ 文体は「です・ます」調で統一します。
・ 年号は、和暦か西暦に統一します。通常は和暦を使いますが、外資系企業やIT企業などに応募する場合は西暦を
使うことが一般的です。
◆略号を用いたり省略した記載の仕方をしないようにしましょう。
・ 繰り返し記号「〃」や、「同上」「同社」のような「同〜」という記載方法は用いないようにします。
・ 学校名・企業名・資格名などの固有名詞は正式な名称・表示で記載します。
◆現在の名称が当時のものから変更されている場合は、当時の名称で記載し、現在の名称を「(現・○○)」の
ように付記する方法があります。
(例) ○○県立○○高等学校(現・○○県立△△高等学校)
◆作成した後は必ず読み返し、誤字・脱字がないかどうか点検しましょう。身近な方に見てもらうのもよい方法です。
適切でない例(省略型) 適切な例(正式な名称・表示)
H25年 平成25年
○○高校 ○○県立○○高等学校
(株)○○ 株式会社○○
日商簿記2級
年 号
学校名
企業名
資格名 日本商工会議所主催 簿記検定2級コピーをとっておきましょう
@日付
(3)履歴書の記載項目
◆記載日ではなく、提出日(郵送の場合は投函日、持参の場合は持参日)を記載します。
G免許・資格
◆免許・資格は、「○○免許 取得」「○○検定 合格」のように記載することが基本です。
◆記載の順番は、古い順に記載する方法もありますが、応募先企業に対するアピール力の高いもの順に記載
する方法をお勧めします。多数の資格を有する場合は、応募先の職務に関係するものを選んで記載します。
◆既に失効したもの、勉強中のもの、1次試験のみ合格、2次試験待機中などでも、意欲や能力のアピールになり
ますので、その旨を明示の上で記載しましょう。
◆職業訓練以外で、パソコンや英会話などの各種スクールへの入校、通信教育、あるいは自己啓発セミナーへ
の参加などによって自主的に能力開発に努めた経歴があれば、この欄に記載しましょう。
◆免許・資格はないものの、応募先企業で活用できる「技能・技術」を持っている場合は、「※パソコン(Word、
Excel)を実務で操作可能。」、「※会計ソフト「○○○」を操作可能(経験○年)」などのように付記する方法
もあります(下記Iで説明する「特技」欄へ記載しても差し支えありません。)
H志望の動機、アピールポイント
◆「志望の動機、アピールポイント」は、履歴書の中でも特に重要な欄であり、その記載方法は9ページを参照してください。
I特技
◆特技については、応募先企業で活用できる「技能・技術」を記載する方法と、「特技」の意味を拡大解釈して、
「趣味」「スポーツ」「ボランティア活動」などを含む、<個人的な活動>について記載する方法があります。
◆「JIS規格履歴書」の「特技」欄は、「志望の動機、アピールポイント」欄と共用していますが、<個人的な活動>
よりも、「志望の動機、アピールポイント」や「技能・技術」の内容を優先して記載し、<個人的な活動>を記載す
る場合でも、仕事に関係するものを優先して記載します。
J通勤時間
◆通勤時間は最短時間で記載します。
K本人希望記載欄
◆勤務条件について細かな希望があったとしても、ストレートには記載せず、面接などの場で採用担当者と相談
するのが一般的です。
◆特に記載する事項がない場合、空欄とすることは適当ではありません。「特になし」と記載する方法もあります
が、「勤務条件は貴社の規定に従います。」などと記載するか、「○○職を希望します。」などのように応募職
種について記載しましょう。
◆さらに、その職種に採用された場合の目標などのさまざまなアピール事項を付記したり、応募先企業からの連
絡をもらう場合の方法などの「通信欄」として用いる方法もあります。
例:「○○職を希望します。・・・の経験やノウハウを活かし、・・・を目指して貴社に貢献できるよう業務に取り組
んで参りたいと思います。」
「在職中のため、勤務中は電話に出られない場合もあります。その場合は留守番電話に伝言いただけれ
ば、折り返しご連絡差し上げます。なお、採用いただけたならば○日以降いつでも出社可能です。」
A生年月日
◆履歴書に記載する年号は和暦か西暦のどちらかに統一します。通常、和暦を用い、元号(昭和、平成)から
記載します。
B現住所
◆都道府県名や、マンション・アパートの名称、部屋番号も省略せずに記載します。「1−2−3」などと省略せず
「一丁目2番地3号」などのように正式な表記とします。
C電話など
◆「電話」欄は、固定電話と携帯電話の両方を持っている場合は両方とも記載します(どちらか一つだけを持っ
ている場合や、様式上どちらを記載するか指定されている場合は当然それだけを記載します。)
◆「JIS規格履歴書」において両方を記載する場合、「現住所」の「電話」欄内に両方を併記することになります
が、「連絡先」欄に現住所以外の連絡先を記載しない場合は、「連絡先」の「電話」欄も利用して記載しても
差し支えありません(11ページ記載例参照)。
D連絡先
◆「JIS規格履歴書」における「連絡先」欄は、現住所以外で常時すみやかに連絡が取れる人(同居家族は該当
しません。)や場所がある場合に、その氏名(場所)と住所を記載し、「電話」欄にその電話番号を記載します。
◆特に現住所以外で連絡を希望する人や場所がなければ記載不要です。
◆在職者の場合、現在の勤務先を記載することは適当でありません。
◆本人がe-mailアドレスを持っている場合は、それを記載する方法もあります。
E学歴
◆学歴は、学校への入学及び卒業(修了)の経歴を古い順に記載します。どの時点から記載しても差し支えあ
りません。
◆高等学校、専門学校、短大、大学の学歴については「学部、学科、コース、専攻」も記載します(高等学校にお
ける学科とは「商業科」「普通科」などのことです。)。
◆職業訓練の受講についても、「学歴」欄に記載して差し支えありません。「訓練」欄が設けられた様式の場合
はその欄に記載します。訓練の「学科」なども記載します。
◆大学受験浪人中の予備校等については通常記載しません。
F職歴(7ページ参照)
◆職歴は、勤務先への入社及び退社(注)の経歴を古い順に記載することが基本ですが、「異動・昇格・出向」
等の経歴や「雇用形態」(正社員・正職員以外の場合)についても記載する方法や、さらに、応募書類として
職務経歴書を提出しない場合は、勤務先の「事業内容・従業員数」「所属部署」「職務内容」などを付記す
る方法もあります。
(注:「入社」の対義語は「退社」ですが「退職」を用いても差し支えありません。)
◆退職の理由については「一身上の都合により退社」などと記載する方法が良く用いられますが、その内容を
知りたいとする応募先企業も多いですので、「会社都合により退職」「会社業績不振により希望退職」「出産
のため退職」「帰郷のため退社」「定年退職」などのように簡潔に記載したり、前向きな理由の場合は「志望
の動機、アピールポイント」欄でていねいに説明をしてアピールにつなげるようにしましょう。
◆職歴の記載の最後に「以上」と記載します。
皆様のお力になれる様心からお祈り申し上げます。